ストレスと便秘
こんにちは、精神科医の諸藤えみりです。
外来に来てくださる方で、ストレスフルな方は便秘の印象があります。
「実は便秘で市販の下剤を飲んでます。」と告白されることが多々あります。
なぜ便秘になるのか。
脳と腸は繋がっているからです。
「腸脳相関」という言葉があります。
脳と腸とは互いに情報を交換しています。
そのため 腸は「第二の脳」とも呼ばれています。
脳が一方的に情報を出すのではなく、腸も情報を出して双方向的に影響をしているからです。Cryan JF, O’Riordan KJ, et al.,(2019)

私たちは幸せを感じると、「セロトニン」というホルモンが分泌されます。
脳内のセロトニンが減少すると、うつ病や不安障害などを発症するのではないかと言われています。
脳内で作られるセロトニンは2%と言われています。
たった2%しかないのですが、とても重要なのです。
残りのセロトニンがどこで生成されているかと言うと、9割が腸で作られています。
Reigstad CS et al.,(2015) Bellono NW et al.,(2017)
脳がストレスを感じると腸内環境が悪化します。
Takatsuka H et al.,(2000)など
結果、腸でのセロトニン分泌が減るのではないかと言われています。
Sudo N (2006)
腸で生成されたセロトニンは腸内の迷走神経などを刺激し、脳のストレス反応を抑えているのではないかとも言われています。
Sudo N et at., (2004)
Bravo JA et al.,(2011)
腸のセロトニン分泌が低下すると脳にも影響が出そうです。
また、セロトニンは腸の蠕動運動を活発にする作用もあります。
Yano JM, Yu K et al.,(2015)
腸のセロトニンが減少すると蠕動運動の低下し、便秘になります。

脳と腸が繋がっていることを示す疾患があります。
脳のストレスや緊張が原因でお腹に症状が出る「過敏性腸症候群。」です。
(過敏性腸症候群とは検査で腸に異常が認められないのに、腹部の膨張感や腹痛を訴え下痢や便秘になる症候群です。)
女性は下痢型よりも便秘型が多いです。
Lovell RM, Ford AC, et al.,(2012)
便秘になると腸のセロトニン濃度が低下します。
Cao H, Liu X, An Y, et al.(2017)
結果、腸蠕動運動が低下しさらに便秘になる。悪循環です。

便秘はつらいですよね。
便秘を解消し、脳と腸を守るためにはストレスを避けリラックスすることが重要です。
腸内環境を整えることも大切ですね。
実は私も便秘傾向で、苦しい思いをしていました。
トイレで力んでしまい「このままでは痔になってしまう泣」と、心配していました。
が、パーソナルジムに行き運動を始めると、便秘が改善しました!
運動量の低下は便秘に関与します。
ウォーキングなどの有酸素運動が便秘患者の症状を改善すると報告されています。
Gao R et al ., (2019)
腸に刺激が加わる「ねじる」運動もいいらしいので、是非取り組んでみてください!
明日はセロトニン分泌亢進についてお話します♪

